フルゥィィィィィドだ!アニマルゼミの時間だぜ。
今日は、有袋類のネズミカンガルーを見ていこう。
ネズミカンガルーはネズミのような顔と小さめの体が特徴のカンガルーの仲間だ。
ではここでクイズ。
次の内、ネズミカンガルーを表す言葉はどれかな?
A. rat-kangaroo
B. 鼠袋鼠
C. canguro rata
答えは、CMのあと!
こんにちは。二枚貝ホタテです。比較ポケモン生物学の第7回、テーマは生物とポケモンの名前、その単語の順番です。
まずは、こちらをご覧ください。(CV.宇都宮CEO)
好きな総菜発表ドラゴンはズルいよな。というか○○ドラゴンって名前がズルい。
— ファイヤー使い友の会 (@146Moltres) 2024年3月17日
あまりにもそういう奴が多かったせいで「(何らかの行為)ドラゴン」で一つの名前になるんだもん。ぼ喜多リツイートドラゴンとか。これがタイガーとかだといまいちそうは行かないでしょ。
ホワイトタイガーとかジャイアントパンダの命名則ってブルーアイズホワイトドラゴンと一緒なんだな。
— ファイヤー使い友の会 (@146Moltres) 2024年3月17日
ポイズンコーギーもこのグループ。
ファイヤー使い友の会氏は、ンバヂ氏が投稿した好きな惣菜発表ドラゴンに注目し、ドラゴンと名前の最後に着けることでそういう性質のドラゴンであることを明示できること、そして遊戯王カードのブルーアイズホワイトドラゴンも動物のホワイトタイガーも種族名が名前の最後についていることに気が付いたようだ。勘のいいガキだ。あとで犬にしとこう。
↓ちなみに「好きな惣菜発表ドラゴン」を知らないはこちらをどうぞ
https://twitter.com/nbaji9/status/1702673342334148990
日本語と英語において、生物の名前はその種族名が最後に来る。言い換えると、修飾する単語が前、修飾の対象となる単語が後ろに来るのだ。
ブルーアイズホワイトドラゴンを例に見てみよう。
まず、ブルー。これはアイズについて説明する単語だ。目が青いというのは、最後にあるドラゴンの説明だ。そしてホワイト。これはドラゴン自体の体色を説明する。ブルーな色のアイズを持つホワイトな体色のドラゴンだ。
いやあんまりホワイトじゃねぇな。
あと体がまぁまぁ水色のせいで目が青いのか分からん。
レシラムにその名前を譲れ。
ともかく、修飾する目的を矢印で示すと、
ブルー→アイズ
ブルーアイズ→ドラゴン
ホワイト→ドラゴン
となるわけだ。
ちなみに、好きな惣菜発表ドラゴンをもじって「好きなドラゴン発表惣菜」という動画も存在する。やはり語順において最後の単語がその正体を示していることが分かる。
好きなドラゴン発表惣菜 / さとうささら - YouTube
次に、複数の単語から構成される動物の名前を見ていこう。
例えばトラザメ(Scyliorhinus torazame)。トラザメはサメだ。間違ってもトラではない。英語ではCloudy catsharkという。トラじゃねぇのかよ。まぁ、どちらにせよ名前の最後にサメ、sharkがついており、サメの仲間であることを伝えている。説明する単語が前、説明される対象の単語が後ろ。ゆえに、一番最後に来る単語がその名詞の本質を表す言葉となる。これが日本語と英語を問わない、生物名のルールである。
さて、日本語と英語を見てきたが、中国語はどうだろう?トラザメの中国語名は虎纹猫鲨だ。トラとネコ両方採用するんかい。最後の鲨という字は、日本ではハゼを指すこともあるが、中国語、ならびに昔の日本ではサメを指す漢字だ。やはり、サメは最後に来ていることが分かる。
トラザメはいるがサメトラはいない。残念。そこで、2種類の動物名からなる名前で、かつ、2種類をひっくり返しても動物名になる生物がいないか探した。
いた。
ネズミカンガルーとカンガルーネズミだ。
ネズミカンガルーはオーストラリアに生息する有袋類。カンガルーの仲間だが、ずんぐりとした体と、ラットのような尖った鼻先の顔が特徴だ。
カンガルーネズミは北米に生息する齧歯類。ネズミの仲間で、大きく発達した後ろ足を使って飛び跳ねる。その姿はまさにカンガルーそのものだ。
ネズミカンガルーもカンガルーネズミも、やはり名前の最後にある種族名がその動物の正体である。ネズミカンガルーはカンガルーだ。カンガルーネズミはネズミだ。では、英語ではどうだろう。
ネズミカンガルーの英名はrat-kangaroo(ハイフンがつくときとつかない時がある)で、カンガルーネズミの英名はkangaroo ratだ。ネズミの部分がratに置き換わっただけで、日本語とほぼ一緒といえるだろう。
次に中国語。まずはネズミとカンガルーの中国語名をおさえよう。ネズミは鼠だ。これは日本でもたまに見かける漢字だな。窮鼠猫を噛む、とか。次にカンガルーだが、ネットで「カンガルー 中国語」とか「kangaroo 中文」で検索すると袋鼠と表示されるではないか。そう、ネズミは鼠、カンガルーは袋鼠だ。なお日本語でフクロネズミというとオポッサムという有袋類のことを指すことが多い。
ではネズミカンガルーとカンガルーネズミをなんというのだろう。
ネズミカンガルーは鼠袋鼠だ。うぉぉぉ!ネズミでサンドイッチしている!マウストゥマウス!
そしてカンガルーネズミは・・・更格卢鼠。
いや袋鼠鼠じゃねぇのかよ!更格卢て!ちなみに卢は盧(めしびつ)という字を簡単にしたものだという。更格卢の当て字でカンガルーという読みを表している。
ともかく、ネズミカンガルーとカンガルーネズミは、どちらも中国語でも同じ語順だ。
でもって、次はスペイン語に注目しよう。
まずはネズミカンガルー。カンガルーの方だな。これをスペイン語で言うと・・・
canguro rata
・・・おや?先にカンガルーっぽい単語が来て、後ろにrata、つまりラットが来てる。
そしてカンガルーネズミ。ネズミの方だがこっちは・・・
rata canguro
・・・おやおや?先にネズミが来てるじゃないか。
そう、スペイン語は順番が逆で、本質となる単語が最初、その説明となる単語が後ろにつくのだ。
スペイン語では形容詞が大抵名詞の後ろにつく。ネズミカンガルーの仲間にアカネズミカンガルーという種がいる。スペイン語ではcanguro rata rojizoといい、最後のrojizoは赤みを帯びたという意味の形容詞だから、そのままの順番で訳すと「カンガルーネズミアカ」だ。
ついでにブルーアイズホワイトドラゴンもスペイン語に翻訳しよう。
Dragón Blanco de Ojos Azules
Dragónはもちろんドラゴン。スペイン語では後ろから2番目の母音にアクセントが来るのだが、そうでない場合はアクセント記号がつく。Dragónの場合、oにアクセントを持ってくるわけだ。Blancoは白いという形容詞。白ワインはvino blancoである。〇〇 de××は英語でいうところのof、つまり××の○○だ。Ojoは目、Azuleは青で、目は2個あるので複数形になっている。deは無視して単語の出てきた順番に翻訳すれば、「龍白目青」となる。ドラゴンが白目をむくほど真っ青ということだな。えげつないビビッドな青だ。
スペイン語はラテン語が由来となっており、ロマンス諸語といわれる。同じ由来を持つ兄弟、フランス語やイタリア語もきっと同様のルールを持つことだろう。
ということで、言語によって単語の順番が大きく変わることが分かった。長かったが、いよいよポケモンの名前を見ていこう。
まずは日本語名。ポケモンの日本語名は生物の日本語名同様に種族名が最後に来るパターンとして、ヒトカゲ、ヤミカラス、ナミイルカなどがある。特にサルっぽいポケモンはその傾向が強く、オコリザル、ヒコザル、モウカザル、ゴウカザル、ナゲツケサル、コノヨザルなんてのがいる。
かと思ったら、逆に名前の前の方に種族名が来るポケモンもいる。
サル系ポケモンでいえばエテボースやサルノリ、ゴリランダー。ちなみにサルのことをエテ公という。去る→いなくなるという縁起の悪い言葉から、得るに変えた験担ぎだ。
興味深いのがゼニガメ・カメール・カメックスだ。カメが前に移動してるではないか。
このゼニガメ系統、英語名だと必ずカメ要素が最後に来るようになっている。
それぞれ、Squirtle、Wartortle、Blastoiseだ。カメは英語でturtle、リクガメはtortoiseという。それぞれゼニガメはスカート(水鉄砲)+タートル、カメールはウォーター+タートル、カメックスはブラスト(噴出)+トータスになっている。
中国語(簡体字)なら杰尼龟、卡咪龟、水箭龟だ。やはり亀が最後。
スペイン語は・・・ポケモンの名前は原則英語と同じである。ということで、日本語のカメールとカメックスだけルールを無視した、種族名先頭ということだ。なんてこった。
さて、考察していこう。まずは中国語だけが持つ特徴に注目する。漢字だけが持つアビリティがある。憑依能力、ウソです、表意文字だ。ひらがな、カタカナ、アルファベットは音だけを意味し、文字自体に意味はない。「あ」や「ア」に意味がない。"A"も、不定冠詞にはなるが、不定冠詞だって意味がある言葉ではない。でも、「阿」はおもねるという意味があるし、「亜」は次点の、みたいな意味があったりする。亜熱帯とかね。それを踏まえてゼニガメ系統の名前を見てみよう。
杰尼龟、卡咪龟、水箭龟
ゼニガメはゼニみたいな音になる杰尼に亀をつけ、
カメールはカメみたいな音になる卡咪に亀を付け、
前半は漢字の意味ではなく読み方を使った音の当て字、後半はカメだ。
カメックスは水の箭に亀を付けている。
箭は矢のことだな。
つまり、最後に亀の字をつけ、どんな亀、という説明になっている。
漢字ならたった1文字で亀という属性を表すことができるのだ!
なるほど~中国語は日本語と同じように生物名が最後なんだなぁ。
当ブログの比較ポケモン生物学では、第5回、第6回、今回と様々な生物の海外言語名称を見てきた。第5回ではヘイガニ・シザリガーとエビ類について、第6回ではバイソンとバッファローについて考えてきた。いやぁ懐かしいなぁ。ヘイガニとシザリガーの中国語調べたら龍が入ってたんだよ。シザリガーが鐵螯龍蝦で、後半3文字がロブスターのことだったな。で、ヘイガニはたしか龍蝦小兵で龍蝦がイセエビのこと・・・
イセエビが先!?
さぁ、ここからは読者の皆様の番だ。自分の推しポケの名前を調べてみよう。種族名の単語は、名前の最後かな?そこにどんな意味が込められているのかな?言語によって法則性はありそうかな?
ここからの研究は読者の皆様に任せよう。ボン・ボヤージュ。