ヌシポケモンたちの生物学小ネタ【比較ポケモン生物学-3】

ポケッス! 二枚貝ホタテです。

パルデア地方での宝探しはいかがでしょうか。

ポケモン、実は「細かすぎる!そんなの生物好きしか気づかないだろ」という小ネタが豊富にちりばめられています。

 

今回は、レジェンドルートで主人公とペパーに立ちはだかる巨大な奴ら、ヌシポケモンに注目します。

 

①オトシドリの声

最初は大空のヌシ、オトシドリ。登場時に空から舞い降りて「ストオオオクッ!!」と鳴きます。実況動画で確認したら、最後の!!はイタリック体でした。スピード感があっていいですね。

それはさておき、オトシドリの鳴き声がストオオオクッ!!なのを見て、自分はゲラゲラ笑ってしまいました。オトシドリの見た目はコウノトリそのもの。そして・・・

コウノトリは英語で、STORK なのです。

シャリタツの「オレモヌシー」は分かりやすいですが、オトシドリも洒落になっているんですね。

コウノトリといえば、赤ちゃんを連れてくるという逸話で有名な大型の水鳥。

日本にはニホンコウノトリが生息していましたが絶滅、現在は中国の個体群を繁殖させ、野生に復帰させる取り組みが行われています。

ちなみにニホンコウノトリの英名はOriental Storkです。目の周りが赤く、クチバシが黒いのが特徴です。

ニホンコウノトリ ズーラシア

幸福をもたらすという伝承は、ヨーロッパのシュバシコウが由来。

朱色のクチバシのコウノトリ、ということでシュバシコウ。英名はWhite Storkです。ニホンコウノトリと同種とする考えもありますが、別種とするのが一般的のよう。クチバシが赤いですが、逆に目の周りが黒いです。ニホンコウノトリと逆ですね。

シュバシコウとコサギ 天王寺動物園

夏、煙突にシュバシコウが巣をつくると家に幸せが訪れると言われています。

オトシドリの姿は、クチバシが赤いのでまさにシュバシコウそのもの。しかし色違いはクチバシが黒い。目の周りも通常色が黒、色違いが赤です。やはりシュバシコウ・ニホンコウノトリのカラーリングです。

 

②トカゲじゃないけどしっぽ切り ミミズズ

次のヌシポケモンはミミズズ。ポケモン史上初の環形動物ポケモンです。

ミミズは基本的にエラ・肺を持たず、皮膚から直接酸素を吸って二酸化炭素を捨てる動物。なので体が太くなると、真ん中まで酸素が届きにくいので酸欠になってしまいます。ミミズズはヌシポケモンになったとき呼吸できるんでしょうか?まぁ表面が硬そうなので皮膚呼吸はしてなくて、別に呼吸器官をもっているんだろうとは思います。

さて、ポケモンと生物を比較するうえで注目する要素としては、先述の鳴き声のほかに、見た目、名前(海外での名称を含む)、ぶんるい、しんか、図鑑説明、動き方、タイプ、とくせい、覚えるわざ、生息場所などなど、枚挙にいとまがないわけですが、次はミミズズのわざ「しっぽきり」に着目しましょう。

しっぽきりはモトトカゲとミミズズしか使えない準専用技。トカゲが敵から逃げるためにしっぽを切るのは有名ですな。それをミミズズが使うということは・・・

そう、ミミズもトカゲのような生態があるということ。

トカゲのしっぽきりのように、生物が体の一部を切り離す行動を自切といいます。タコやカニ、ナナフシなんかは脚を切り離します。トカゲのしっぽがそのうち再生するように、脚を自切する動物も時間とともに再生する傾向にあります。リスはしっぽの毛、リュウグウノツカイは体の後半を自切しますが、こちらは再生しないと言われています。一生に一回限りの大技です。

ミミズはシンプルな体の構造の動物。再生能力も高く、体の後ろ側を切って囮にし、そのあと再生させることが可能な種がいます。

 

しかし、それだけではないのがミミズのすごさ。

ミミズは基本的に雌雄同体ですが、自分の精子と自分の卵で繁殖するわけではありません。精子を交換し有性生殖で卵を産んで増えます。ちなみに、頭の近くに太い帯のような部分(環帯)がある種類は、ここから卵を作って頭から産卵します。しかし!ミミズには無性生殖で増える種が存在します。つまり分裂して自らのクローンを生み出すということ。ヤマトヒメミミズは、ある程度成長すると体が10個くらいに切れて、その切れ端たちが1個体として新たな人生をスタートします。なんと4日ほどで頭やしっぽが再生してしまうんだとか。

しっぽきりで身代わりを作るミミズズ。もしかして、その身代わりを放置しておくと・・・。

 

③ヘイラッシャのフランス語名Oyacata

最後は偽竜のヌシ、と言っていいのか微妙ですが、おおなまずポケモンヘイラッシャです。

ヘイラッシャの名前の由来は「へいらっしゃい」という寿司屋っぽい挨拶だと思うんですが、他に何かかけているんですかね?シャリタツが口の中へ入ることも「いらっしゃい」だからかけているのでしょうか?

さて、先日開催された第7回リモートポケモン学会にて、カルフールさんがポケモンのフランス語名について発表していました。ポケモン名は英語・イタリア語・スペイン語が共通であるのに対し、フランス語は独自の名前が設定されているんだとか。恥ずかしながら存じ上げませんでした。奥が深いポケモン翻訳の世界、まだ見ていない方はぜひアーカイブをご視聴ください。

で、ヘイラッシャのフランス語名は、Oyacataです。ほほう、親方ね。寿司屋っぽい。

でも日本語のローマ字で考えたらOyakataじゃない?なんでCなの?

実は、名前の中にcatを入れることに意味がある、と思われます。

ナマズはヒゲが生えていますが、そこが猫に似ているので英語でcatfishと言います。種類によってはレッドテールキャットのように〇〇キャットという名称のものもいます。

ナマズとコイ アクアマリンふくしま

つまり、Oyacataは親方とcatfishのダブルミーニングというわけですね。うまい。よく思いついたなぁ。

 

ということで、生物好きが見つけたポケモン小ネタ、ヌシポケモン編でした。

 

参考文献

再生研究の新しいモデル実験動物−ヤマトヒメミミズ