やっポニおー!
リモートポケモン学会自然科学支部生物班(そんなものはない)二枚貝ホタテです。
先日、リモートポケモン学会言語支部フランス語班(そんなものもない)のカルフールさんが、巡回展『ポケモン化石博物館』を開催中の群馬県立自然史博物館に一緒に行く方を募集していました。いいなぁ。自分も8月に1人で行ったんですが、何人かで意見を交換しながら見るのは楽しいですからね~。1人で自由に鑑賞するのもそれはそれでいいんですけど。あいにく自分はその日に用事があるので現地に行くのは難しい。しかし、群馬県立自然史博物館の話もしたい・・・そうだ!ブログで紹介しよう!
リアルな学会では「エクスカーション」といって、学会のために集まった研究者たちが会場近くの観光をしたりします。ということで、リモートポケモン学会リモートエクスカーションを始めましょう!
以下、8月2日に自分が行ったときの体験、感想、オススメ観察ポイントです。3か月半経って変わったことがあるかもしれませんのでご承知ください。
覚悟の準備をしておいてください!
群馬県立自然史博物館に行く前に覚悟をしておくべきことをまとめますね。
群馬県立自然史博物館にはレストランもなければカフェもありません!マジかよー。クッソ山奥なので。一応自分が行ったときはキッチンカーが出てたのと、前にソフトクリームのお店があったくらい。
また、山奥なのでスマホはネットにつながりませんでした。(スマホのキャリアはauです)。館内にはフリーWi-Fiがあるので、ネットを使うならWi-Fiを使った方がいいかもしれません。
さて、では本題。群馬県立自然史博物館に来たら、早速ポケモン化石博物館を見に行こう・・・と思いきや、先に常設展を見てからポケモン化石博物館に行け、というルートの模様。ということで常設展の解説をしていきます。
群馬県立自然史博物館の常設展は、地球が生まれ、生物が進化してきた歴史を追い、そして現代の自然を見て、最後に人間も生物の一つであること、自然の一部であることを学ぶというストーリーです。いいですねぇ、ストーリーのある展示は。
なんか言いたくなる宇宙のキセキ
最初に紹介するのは、隕石。一部の隕石の、その断面を酸で処理する時にのみ現れるという美しい構造、それがウィドマンシュテッテン構造です。美しさもさることながら、この言葉、いいですよね。ウィドマンシュテッテン構造。言いたくなること間違いなしなので、ぜひ見てください。ちなみにウィドマンシュテッテン構造がよく見える大きくてきれいな隕石標本が、愛知県ののんほいパーク豊橋市自然史博物館にあります。こちらもいい博物館ですので、機会があったらぜひ行ってみましょう。
奇妙なエビの奇妙な顎
続いて古生物のゾーン。注目したいのはアノマロカリスです。
奇妙なエビという名を持ち、全身が個性の塊みたいな存在ですがなかでも口が異常。まるでパイナップルを輪切りにしたかのような、およそ顎とは思えない形です。
人間を含む、多くの脊椎動物は上下に開く顎をしています。一方、昆虫やカニなどの節足動物は左右に開く顎です。むしタイプのポケモンも左右に動く顎のものがいて、特にアゴジムシ系統が分かりやすいですね。彼らは電気を操る種族だけあって、口を開けると隙間が稲妻のマークみたいになります。アノマロカリスは上下でも左右でも、どちらでもない口を持ちます。歯がドーナツ型に並び、それぞれが動くというわけ。この特徴からアノマロカリスの仲間は、ラディオドンタ類、日本語では放射歯類と呼ばれています。さて、博物館にはアノマロカリスの模型があります。背中側しか見えず、おなか側はとっても見づらいんですが、がんばってみると・・・
すごい再現度!ほとんど誰も見ないであろうおなか側の口まで精緻に作られています。お見事。さて、アノマロカリスと似ているポケモン、アノプスはどうなのでしょうか!?実はポケモン化石博物館にアノプスの模型があります。はたしてアノプスの口はどうなっているのか?そしてアノプスの模型はどこまで再現して???ま、裏側が見えるかは別問題ですが・・・
あ!進研ゼm・・・リモポケ学会でやったところだ!
古生物ゾーンには、こんな面白いものもあります。
めっちゃでかいシャミセンガイの模型です。本物の殻は数センチしかないんですけど。二枚の殻があるから二枚貝か?いえ、これは腕足動物の仲間。腕足動物といえば、そう、『リモート’2まいがいポケモン’学会』ですね。えどです氏のパートで登場した、背と腹に殻を持つ生物です。腕足動物は、今でこそ種数も少なく、地味な生物。しかし古生代、恐竜が生まれるより前の大昔の海にはたくさんの腕足動物がいたのです。かつて栄華を極め、衰退した今も生き残る腕足動物に思いをはせてみましょう。
お前は恐竜じゃねぇ!
あっ!恐竜だ!いや、恐竜ではなく、ディメトロドンです。恐竜が生まれたのが三畳紀という時代。そこからジュラ紀、白亜紀と繁栄し、白亜紀末に落下した隕石によって(鳥以外)絶滅しました。で、ディメトロドンはその三畳紀の1つ前、ペルム紀という時代の生物です。恐竜は足が下に向かってまっすぐ伸びる「下方型」なのに対し、ディメトロドンは足が横に伸びる「側方型」です。
ディメトロドンは単弓類といって、恐竜より哺乳類に近いことが分かっています。哺乳類のご先祖に近い親戚というわけ。
さて、東京ディズニーランドの「ウエスタンリバー鉄道」では、トンネルに入ると恐竜が出てきます。アナウンスでも「恐竜の世界へ行こう」的な感じのナレーションです。しかし最初に出てくる”恐竜”は、ティラノサウルスでもトリケラトプスでもなく、エダフォサウルスと思しき存在。ディメトロドンより頭が小さい単弓類です。そう、恐竜といいつつ恐竜と時代も分類も違う生物が出てくるのです!例えるなら、「徳川将軍を紹介するよ。まずは織田信長!」と言っているようなものです。
流行りの?セイレーン
Twitterではセイレーンが人気みたいっすね。ということで、セイレーンに関する、というかセイレーンの名を冠する古生物を。人魚のモデルと言われるジュゴン・マナティーの仲間、ミオシーレンです。ミオはこの動物が生きた時代、中新世(Miocene)を、シーレンは人魚セイレーンを意味します。そういえば、ポケモンにも人魚っぽいポケモンがいた気がします。いや、あしかポケモンのジュゴンじゃなくて、いやまぁアシカっぽいポケモンではあるんですけどね?
ジュゴンやマナティーは海の中で植物を食べているので、海の牛、カイギュウと呼ばれています。ウミウシじゃないよ。そんなカイギュウの面白観察ポイントはずばり肋骨!すげぇ太い。これはおそらく浮力を調整するためでしょう。骨は普通水に沈みます。重たい骨が錘となって、海底に沈みやすいのでしょう。
ちなみに、ミオシーレンのあたりで道が3方向に分かれています。右の道に行くと恐竜時代の生き物がもっとたくさん見られるんですが、ここで左かまっすぐに進んでしまうと見逃がしちゃうのでお気を付けくださいませ。
巨大!メガプテラ
↑の画像に「メガプテラ」がいるの、分かりますか?プテラがメガシンカした姿ではなく、メガプテラという名前の生物がいるのです。
正体は、ザトウクジラ。画像右の、黒い長いやつがザトウクジラのヒレの模型です。ザトウクジラは他のクジラよりも圧倒的に胸ビレが長いため、これを翼に例え、大きな翼という意味で「Megaptera novaeangliae」という学名が付けられました。ザトウクジラの胸ビレはゴツゴツしていて、このゴツゴツが流体力学的にイイ感じになって、泳ぐ高率が上がるとされています。このヒレの構造を風力発電の風車に応用する研究もあるんだとか。
バッフロンはバッイソン?
バイソンです。かっこいいですね~。特にかっこいいのが、背骨の前の方、上に伸びた「棘突起」という突起です。角が生えているなど、頭の重たい哺乳類ではこの突起が発達し、頭をひっぱったり支えたりするのに使う筋肉がつくわけです。
ちなみに、背骨の突起(棘突起(きょくとっき)と言います)の左右には、頭や首を支えるのに使う筋肉が付いています。突起が長いほどたくさんの筋肉が付着できるので、頭が重い動物や首が長い動物では、この突起が長くなります。
— 郡司芽久(キリン研究者) (@AnatomyGiraffe) 2020年8月22日
写真:バイソン、オオツノヒツジ、ヒツジ(角なし)(画像はwikiより) pic.twitter.com/Y2WMtkiXK3
さて、バイソンと呼ばれる動物なんですが、実はアメリカではこの動物をバイソンと呼ぶこともあれば、バッファローと呼ぶこともあります。ややこしいですが、日本では水牛のことをバッファローと呼びます。水牛の方のバッファローは水に入るので、あんまり長い毛が生えていません。一方バイソン(バッファローともいう)は頭から肩にかけてもこもこ、というかボフボフの毛が生えています。まるでアフロですね。
ところで、ポケモンのバッフロンはバイソンなのでしょうか?バッファローなのでしょうか?見た目はバイソンにそっくりですが名前はバッファローっぽい。ただしバイソンはバッファローと呼ばれることもある。日本人からすると違和感があるんですけど、バッフロンはバッファローのポケモンと言っても一応間違いではないということです。
もっと頭のデカい動物
さっきの写真、バイソンの奥、何かいますね。そう、バイソンより巨大な動物、ゾウです。ゾウはキバ、鼻、そして耳と、ただでさえデカい頭に、さらに重たいものをくっつけたスタイル。さぞかし棘突起も大きい・・・かと思いきや、バイソンと比べると、そこまで長くありません。それもそのはず、ゾウは首が短い、いわば胴体に頭を直接ガッチャンコしたような体形なのです。それなりに首があって頭を柔軟に動かすバイソンと異なり、あんまり頭を動かさないゾウは棘突起が小さめでもいいと。その代わり、鼻を自由自在に動かすことで、餌をとったり水を飲んだり、周りの状況を感知するのです。
さぁ、次からはいよいよ現代の自然を見ていきます。が、今回はここまで。次は現代の生物と、生物学の巨人ダーウィン、そして人間を見ていきます。
おまけ
二枚貝の展示もたくさんあります。全部良いです。全部見ましょう。