ハロー、読者。
こちら、ホタテ。
二枚貝ホタテです。
前回は第6回リモートポケモン学会、略してリポ学のプレゼンターになった経緯を適当に書きました。
今回は、YouTubeのコメント欄やツイッターでいただいた、コメントの一部をとりあげていきます。
①えどですさんへの質問に勝手に答えてみた
〇二枚貝は左右の殻の形が同じということでしたが、カキは殻の形が違うように思います。シェルダーもそうした例外に含まれる可能性はありませんか?
二枚貝の殻は左殻と右殻の2枚です。えどですさんもツイッターで説明していましたが、カキは左殻を接着剤のようにして、岩やほかの貝殻にくっついて生活します。左殻が皿、右殻が蓋みたいな位置関係になります。
えどですさんの発表と矛盾しますが、二枚貝のボディプラン、左右に(鏡に合わせたような)同じ形の殻を持つ、というのは例外がいるんですね。
実はホタテガイもこの例外にあたります。左殻は平たくて茶色、右殻は丸みを帯びていて白いです。絶滅種ですが、タカハシホタテはこの形の差が歴然です。スライドで登場した直立型の厚歯二枚貝も左殻と右殻が違う形の二枚貝です。
シェルダーはこのような例外パターンにあたるのかもしれません。というか、ホタテがモチーフの可能性は十分にあると思います。蝶番のあたりが広がっているのもホタテっぽいですし。
〇えどですさんはどのくらいの頻度で博物館に行きますか
僕は動物園水族館に行ってばっかりなのですが、上野の科博は気になる特別展があると、午前は科博、午後は上野動物園みたいな梯子をやります。
科博はいいぞ。今回のスライドで登場したイモガイたち、ヤキイモ・イシヤキイモ・ベニイモ・ケムリイモは地球館1階で皆さんを待っています。
オススメの楽しみ方は「科博の貝を全部見ようチャレンジ」です。これは、科博に展示されている貝を全部見るというチャレンジです。たのしいよ。
何か一つのテーマに注目して展示を見比べるのもありですね。いろんな生き物の爪だけ注目するみたいな。
②ヤドラン・シェルダーについてのコメント
〇本物の貝殻を背負うヤドカリは歩くための足が2対だから少しあってる?
はさみは?
〇パルシェンがどくびし使えるのは毒を持つ貝をイメージしてるから?
可能性は高いですね。別に忍者のポケモンじゃないし。開発者の中にカキを食べてあたったことがある方がいるのかも。
〇螺旋だとどこかの角度で切れ目ができちゃうから、スネオヘアーみたいな概念になってるのか
〇ドット絵で螺旋は難しそう
正旋構造は、立体的に描いたとき整合性を保つのは難しくなりそうだなとは思います。
実際に描いたわけではないですが、鏡餅型と正旋の巻貝を描き比べると、鏡餅型の方が簡単だろうな。立体化も同様。
話変わりますけど、ポケモンfitってあるじゃないですか。全ポケモンを世代ごとに小さいぬいぐるみにするやつ。あれ、ムゲンダイナどうするんですかね。
③チオンジェンについてのコメント
〇チオンジェン左巻きなんだよね確か
そうなんですよ!
巻貝の8割以上が右巻きです。
正旋の場合、上から見たときに時計回りに外側・下に向かって成長するのが右巻きです。ひらがなの「の」を書くイメージですね。
尖った方を上に、そして口の部分を下、手前側に向けたとき、口の部分が向かって右側にくるのが右巻きです。
一方で左巻きも少数ながらいます。たとえばカタツムリの仲間でキセルガイという細長い貝がいます。この仲間はどれも左巻きです。
さて、ここからは妄想ですが、チオンジェンが左巻きなのは、この少数派ということに意味がある気がします。
つまり、孤独・孤立・孤軍奮闘・マジョリティへの反抗。そうした意匠が込められているのではないでしょうか。
実はカタツムリが大体右巻きであることから、右巻きのカタツムリに特化した口を持つ動物がいます。イワサキセダカヘビやカタキバゴミムシ類です。
進化を擬人化したり目的があるように書くのは不適切なんですが、左巻きのカタツムリは、「カタツムリは右巻きが多数派で、それを食べることに特化した天敵がいるので、そいつらへの反抗として左巻きが進化した」と思われます。
(左巻きだと食べられにくいので生き延びやすかった、というべきですが。)
左巻きには、強いものへの反抗というメッセージがあったりして。
ちなみにスプラトゥーン3のタニシ店長も左巻き。ファッションリーダーとしてのカリスマ性を表現しているのかもしれません。
〇やっぱり木簡だから連なっていないと都合が悪いのかな。
〇つながってるという文脈が必要なのか
チオンジェンの螺旋の部分は、木簡が並んでいます。もし鏡餅型だったら表現できないですね。連なる木簡を螺旋で表現する神デザです。
④その他貝系ポケモンおよび貝へのコメント
〇イシズマイは岩を溶かし削って宿を作るという図鑑説明があるので、俺は巻貝型の方が好みだぜ!という巻貝イシズマイがいる可能性もありそう
僕と仲良くなれそうですね。巻貝好きイシズマイ。
〇ミジュマルのホタチもダイケンキになるころには巻貝になってる・・・
巻貝の方が武器に向いていることに気づいてしまったようですね。
ホタチ、どう考えてもリーチが短すぎるんよ。
〇貝毒は渦鞭毛藻類とかが由来になってるんやっけ
渦鞭毛藻類のこともあれば、珪藻類のこともあります。記憶喪失性貝毒なら珪藻類、マヒ性貝毒なら渦鞭毛藻類が原因です。
⑤配信で答えた質問への回答への補足
どうでもいいけど、今↑の文字を入力したら、「貝等への細く」って変換されました。
〇薄明の翼で、キョダイマックスラプラスには対数らせん構造があると言及されていました。見解を聞きたいです。
配信で話したように、「対数螺旋だから殻だろう」とか「対数螺旋だから巻貝だろう」というのは違うと思います。別に対数螺旋は巻貝の専売特許じゃないですからね。
それより、ポケモン世界における「殻」と「甲羅」の違いも気になるところです。たとえばカメックスはこうらポケモンですが、からをやぶる・からにこもるといったわざを覚えます。図鑑説明には、「こうらに ふんしゃこうが あって ロケットのような いきおいで つっこんでくる すごい やつだ。」とか「ピンチの ときは カラに かくれる。」とか書いてあります。どっちやねん。
我々の知る生物も、殻と甲羅の区別はあいまいで、特に定義がありません。
背中を全体的に覆う薄めの堅い組織を甲羅と呼ぶことが多いです。
貝は全員殻かというとそうでもなく、チャコウラナメクジというナメクジもいます。
ポケモン世界の殻と甲羅、本当は違いがないんじゃないですか?オリーヴさん。
我々の世界で言うナゾロジーみたいな、不正確なメディアを読んでテキトーな話してるだけなんじゃないですか?
ごめんなさい。キレないで。
それはさておき、殻と甲羅の違いについての考察、いつかこのブログで書きたいですね。
〇貝の入り口が尖ってる貝は、どの種類に多いんだろう?
これ、あんまり詳しく語れなかったんですが、めちゃくちゃいい質問ですね。
ヤドランについているシェルダーは、口?の部分にキバみたいな尖ったものがあって、これでしっぽにかみついています。
よく見るサザエやカタツムリには、こんな突起はないはず。でも、実は一部の巻貝には、口の部分(殻口と書いてかくこうと読みます)に突起があるんですよ。
めちゃくちゃいい貝を紹介しますね。
キバサナギガイ科のカタツムリです。大きさは数mm。ちっちゃいね。
殻口に生えているキバ状の突起は、アリなどが首を突っ込んで軟体部を食べるのを防ぐ機能があるのかなと思います。
小さくかわいらしい巻貝に、キバのような突起が生えているというギャップ、萌えますね。(個人の感想です。)
科博にシモチキバサナギガイが展示されています。みんなも「ちっちゃ!」って言いましょう。
〇生き物を今から網羅的に知れるほど好きになれるためにはどうすればいいんでしょう
この質問に、広くマメ知識が載っているような本から始めましょう、と答えました。
たとえば、世界地図の国の位置と名前を覚えなきゃいけない、としますよね。
早速地図を見てみると、失礼な表現ですが、全然聞いたことがない地味な国がありますよね。
そうした国の名前を覚えようとしても、特徴も思い入れもない単なる文字情報にすぎないので、覚えにくいのではないでしょうか。
そこで、先にいろんな国の情報を集めてみる。たとえば、おいしい郷土料理とか、インパクトのある祭りとか、絶景の世界遺産とか。
そうした情報があれば、「あ、〇〇って国、××って言う世界遺産がある国じゃん!」みたいに、覚えやすくなるはず。
生物の勉強も一緒だと思います。まずはどんな生物がいて、どんな面白い特徴があるのかを知る。
いきなり系統樹を見たって「え?単板類ってなんだよ」となるはず。でも、先に知識があれば「単板類はシーラカンスと同じ、化石として見つかっていてあとから生きているのが発見されたタイプだよな。」となるのです。
⑥その他、プレゼンへの感想
〇(巻貝か二枚貝かどっち?という話をさんざんしたうえで、公式が巻貝と言っているからヤドランのシェルダーはどう考えても巻貝だという流れに対して)いままでのくだりは何を思って?
ヤドランのシェルダーの正体を探るための重要なプロセスです。
もしかしたら、明確に二枚貝であるという根拠が見つかるかもしれないじゃないですか。結局見当たりませんでしたけど。
もしかしたら二枚貝かも?可能性あるな。いや、巻貝なのか?可能性あるな。今手元にある情報ではわからないから公式が言っているとおり巻貝なのだろう。ということです。科学の基本は疑うことですよ。
〇デザインっていうメタ的な視点も含んだ生物学的分析で興味深い
〇ほんまにうまい締め方だ
〇現実の生き物の情報も濃くて面白かったです
〇めっちゃ面白かったです
〇生物学の知識が無くても大変面白かったです!!
〇査読のときから思ってたけど、二枚貝ホタテさんの小気味よいユーモアめっちゃ好きです
〇ユーモアセンスありすぎないかこの人
〇ホタテさんのプレゼン、ツッコミが追い付かないほどのミスリードネタやすれ違いネタとためになるお話が絡み合っていてめちゃめちゃ楽しいな
ありがたいコメントです。ぶっちゃけポケモンの生物学的考察なんてものはただの自己満足でしかないんですよ。それをこんな風に楽しんでいただけて良かったです。
〇むずかった。ホタテさんの内容
〇情報の洪水
早口なうえにスライドにも情報(おふざけを含む)を大量に出したのでわかりづらかったかと思います。
ただ、リポ学は一回で理解できなくてもアーカイブで何度も見返せるので、今回はわかりやすさより情報量とおふざけを優先しました。残念な思いをした皆様、申し訳ありません。
以上、コメントへのコメント返しでした。